アートとマジック（手品）ってとっても似てる

さて、世の中大変な事が次から次へと起きますが、ちょっと違う話題を今日はしてみます。
僕は常々色んなところで言うんですがアートとマジックってメチャクチャ共通点が多いんです。
これは周りからもあんまり共感を得られない事が多いんですが、僕は随分若いころにマジックにちょっとハマった時代があって、八重洲のマジック専門店にも出入りしてた程度にはなけなしのお小遣いでタネと仕掛けを入手しておりました。

そしてその後アートの道へ進んで、同時に現代美術の流れが来るんですが、特に現代美術はマジックに似ています。
どこが？？というと、両方とも最先端のテクノロジー（科学技術）を使います。もちろん、それを使って表現するための手先の技術の習得も必要です。そして何より大事と言っても良いのが”言葉”です。ホントに優れた作品やマジックの場合は言葉は必要ありません。しかし、ショーとしてのマジックを考えた場合、観衆をより引き込むため、楽しませる為に必要となる事が多くあります。

アートも、ホントに良い作品・・・と言うか、言葉が必要な作品も多くあります。有名どころはヌーベルバーグで、当時新しい映画の波を起こしましたが、ヌーベルバーグ成功の鍵は作品とともに批評があったからと言われています。デュシャンの「泉」と言われる作品はどこにでもある男性用便器を持ってきただけですが、これを便器だけ見てアート的価値を感じるのは不可能です。また、ピカソやウォホールの時代になると、作家自身が表に出て作品、または自身について語るようになりました。

そして、今も昔も日本人は手先が器用で、アートにしてもマジックにしても技術的にはとても上手い人が多いのに、世界で活躍できていないのはまさに言語問題があるからです。
アートに関しては島国という特性上、流通が難しいというのもありますが・・。

さて、僕はオーディション形式の番組が大好きでよく見ます。
人生には「本番」と言われる重要な局面が誰しもいくつかあって、その本番のために常日頃鍛錬して、しかし勝者は一人・・・・。
その緊張感と彼らの背景にあるドラマが合わさって非常にエモーショナルな時間になりますし、自分の才能に気づかなかったり信じられなかったりしてひた隠しにしてきたものが、突然開花する瞬間が感動的だからですが、先日その手の番組で日本人マジシャンを見ました。
彼は英語をネイティブと自由に会話する程に操り、またはそのキャラクターやショーの組み立てで観客を魅了していきます。
手品そのものは新しさはなく、古典的なテクニックのものが多く、2回見たらだいたいタネもわかってしまいますが、それでも彼のショーは何度も見れる楽しさがあります。
その後、彼の他の動画も見たんですが、彼は多くの国でオーディション番組に出ているんですが、その殆どが現地語です。イタリア・スペイン・ドイツ・ポーランド・英語・・・・他にもあるかも知れません。
国内には彼より上手いマジシャンは沢山いると思いますが、それでもカフェや商業施設の手品売り場で多くの仕事をこなさなければならないのはもちろん国内需要の問題もあるけれど、語学的な問題で国外に出られないからじゃないかと思います。

僕も初めて海外で展示した時や、外国のギャラリストと話さなければならない状況になった時はテンパりましたし、もちろん通じてないと思いますが、僕たちはここ数年それこそ技術の進歩に助けられています。

最後に動画を貼っておきます。
言葉がとても重要な役割を果たしているマジックと、もう一つは言葉を一切使わずテクニックだけで魅せるマジックです。
Keiichi IwasakiとShin lim、どちらのショーが好きですか？？