美術家デビューと漫画家デビューからの・・・アイドルデビューでした。
さて、美術家にしろ漫画家にしろ、アトリエでの制作がどれだけお役に立てたかはともかく、アトリエに通っていて定めていた明確な目標が形になった事例を紹介しているのですが、今回はアイドルです。今回は子どもの教室に通っていた生徒の話なのと、アイドル育成は全くやっていないので、それこそアトリエでの経験がなにかの役にたってるとは思わないけど、さっきその子と数年ぶりに再会して、当時のことを思い出したついでに備忘録としてこれを書いてます。
その子は小学校3年~中学3年まで通っていました。
最初は「男の先生だからどうかなぁ~」と体験に来た時にお母さんが言ったくらいには大人しく、人見知りな女の子でした。
彼女は特筆すべき何かがあったか、というとそうではないです(僕が特筆すべきと思った生徒は過去に2人しかいないくらい狭き門です)。とは言え、常に一生懸命で、真面目で、僕のアドヴァイスを素直に作品に反映してくれました。小学校卒業で退会しちゃうかなぁ~と思っていましたが、中学になっても続けてくれたのがとても嬉しかったのは、大人しくて気持ちを表現するのが苦手な彼女がアトリエでの時間を楽しんでくれてるって事がわかったからです。そして一貫していたのは彼女が制作する作品は常にキラキラしていてポップで可愛かったということです。
そうか~そことアイドルが結びつくなぁ~と、彼女の成長した姿に昔との共通点を見出しました。
彼女は高校3年間もたま~~~にアトリエに顔を出してくれてました。
そんなに気に入ってくれてた場所だったんだなと、それはそれでとても嬉しい事だったんですが、そんな彼女が高校卒業して、服飾系の専門学校に行くという進路を聞いた翌年に、コロナになったんです。彼女の事がずっと引っかかっていたのは、専門学校1年目のコロナ直撃があったから。専門は2年か3年でしょうから、まともに専門生ができずに卒業したハズだからです。もちろんコロナなので彼女もアトリエには遊びに来なくなったわけです。卒業して企業に勤めるタイプでもないし、専門学校もまともに行けてないだろうから、専門制を生かした仕事にも付くのは難しいだろうし・・・・。
頭の片隅にあった彼女への心配は徒労に終わり、答え合わせの結果が「アイドル」だったわけです。
いや~驚きました。
「アイドル目指すなら当アトリエに!」とはもちろん言えない訳ですが、無理矢理にでもアイドルになった彼女にアトリエでの経験が生きている事がないかを考えてみました。
まず一つは6年間、中学になっても続けたという、継続力でしょうか。中学になると受験や友達関係も忙しくて、なかなか文化的な習い事を続けるのは難しくなると思います。だけど彼女は部活もやりつつ、アトリエにも通い続けました。僕はというと、中学・高校と美術部でもなく、習ったこともなく、もちろん趣味で続けることもできませんでした。
そして、高校になってもたまに遊びに来てくれたのはパッションが強いということでしょうか。
普通は習い事の元先生に会いたいなと思っても、退会後に会いに行くってのはハードル高いですよね。行けば喜んでくれる事のほうが多いハズだけど、色んな事を考えて結局行けない事が多いと思います。
絵画造形を習うためには、男の先生は苦手など言ってられない・・・・そんな小さいけど子どもにとっては高めのハードルを越えられたのもパッションかも知れません。
彼女が通った6年、そして遊びに来ていた9年を通して一番変わったなと思うのはコミュニケーションです。
最初は他の子と話すこともほとんど無いし、僕との会話も頷くとか首をかしげる程度でした。アトリエで一緒になる子どもも様々なので、合わない子も居たんじゃないかと想像しますし、うるさいな~と思っていたかも知れませんが、高学年~中学生くらいになると楽しく会話することも増えて、高校になって遊びに来てくれた時には小さな子どもたちとも楽しそうに時間を過ごしてくれて、生徒たちもキレイで優しいお姉さんが来てくれたと嬉しそうにしていました。成長すればある程度のコミュニケーション能力は付くでしょうが、大人の男性に対しての耐性と特に年下に対しての対応はもしかしたらアトリエでの体験が生きているかなと思います。
もちろん、アイドルもアーティストで表現活動ですから、6年間絵画や造形を通して表現活動をする中で、よりふさわしい表現方法を見つける事ができたのかなとも思います。
芸能人やアーティストの中には子どものとき、極端に大人しかったり自信が無かった・・・・という人はとても多いです。
言いたいことが脊髄反射的に口にできる子や、運動が得意、ひょうきん、などでポジションを獲得している子はその時点で承認欲求を満たせるんだと思いますが、内に秘めていて自己表現が苦手で承認欲求が満たせない場合、将来的にアーティストと呼ばれるジャンルに進むことが多いように思います。僕もまさに子どもの時は病弱で大人しくて自信のない子どもでした・・・。
とは言え、僕のようなメンタリティの持ち主がある日突然「アーティストになりたい!」と思ってもなれないものです。
僕の場合は美大受験から自己表現の世界が始まった訳ですが、小さい頃に絵画教室や造形教室に通っていたら、もっと成長も早かったかなとか、受験のアドバンテージが得られたかな・・・・と思ったりしました。
最近は子どもの意見を尊重する傾向にあるので、今でも「男の先生」とか「雰囲気が苦手」ということで入会に至らない子も居ますが、片やその反動なのかヨットスクールの人気が上がっているとも聞きます。僕が今まで指導にあたった子どもはせいぜい数百人程度ですが、おこがましくもアトリエに通い始めて変わってきたなと感じる子は何人か居ます。その多くは中学生になっても通っているので、僕の感じ方もそんなに間違ってないような気はします。
大事なのは何も僕のアトリエに来ることではなくて、小さな一歩を小さな勇気を振り絞って、つまずいても良いからハードルを飛んでみる事で、立てなくなるほど辛かったり合わなければカジュアルに退くという事なのかな??と思います。
やりたいこともできないなら、やりたくないことはもっとできないですね。
やりたいことも一生懸命できない。やりたいこも一歩が踏み出せないなら何ができるのでしょう。
そうか、絵画造形なんていうのは大人になって直接役立つことなんて何も無い・・・・どうにかしたら運動会のようなワチャワチャで一日の子ども教室が終わってしまうことがあっても、アトリエには意味があるんじゃないか。そんな事にも思いが至る、とても貴重な再会でした。
関連記事
-
3月4月はおめでとうとお疲れ様。
みなさん新年度迎えましたね。 いかがお過ごしでしょうか。 今年は美大の受験生が受 …
-
教室展開催中!!
とても久しぶりの投稿になりました! 作家活動にしてもイクメンにしても、なんで年を …
-
美術系への進学について(高校・大学)
さて、この時期になると増える問い合わせの一つに進学対策があります。 昨年は通って …
-
心機一転!(大人 も 子供 も 楽しく絵画 造形-Art Studio Petite-poupee八千代市本校-)
テスト投稿がてら、心機一転! Blogも自分のサイト内に設置いたしました!! こ …
-
教育・投機・就活・・・急に流行ってきました。アートが!なぜ!??
新年度になりました。 今年の1年もあっという間に過ぎ去りそうです。毎年じゃんじゃ …
-
放っておく事は大事。決定力はもっと大事。
いきなりですが“作品”において“作者”とは誰ですか? 僕の教室ではこの“作者”を …
-
アートとマジック(手品)ってとっても似てる
さて、世の中大変な事が次から次へと起きますが、ちょっと違う話題を今日はしてみます …
-
瀕死からの復活からの最非常事態宣言。。。
みなさん明けましておめでとうございます。 今年はコロナ禍で、どこにも行かず、誰も …
- PREV
- 美術系への進学について(高校・大学)